日本における首都としての働きをもっています。

都の大きさは、およそ2000キロ平方メートルです。
これは、沖縄県より少し小さいくらいで、
日本の47都道府県内で3番目に小さい面積です。

人口は約1300万人、都道府県内で一番人が多い場所です。
日本の人口は約1億3000万人ですから、
国民の10分の1が東京都にいることとなります。
また、東京都の都内総生産(GDP)は約85兆円で、
日本国内総生産の2割ちかくを占めています。

(都のシンボルマーク:東京都のホームページより)
上の図は、東京都のシンボルマークです。
このマークは東京都の頭文字である「T」を真ん中にイメージし、
同じ円弧(部分的な円)3つによりできています。
色は、鮮やかな緑色で、
これからの東京都が、躍動し、繁栄し、潤い、安らぐように
という願いが込められています。

(都の花 ソメイヨシノ:東京都のホームページより)
上の図は、東京都の花です。
ソメイヨシノは、江戸時代の末期から明治時代の初期にかけて、
東京染井村(現在は豊島区駒込)の植木屋さんがヤマザクラを品種改良して
生みだしました。

初めは、桜で有名な奈良県吉野山にちなんで、人々はこの桜を
「ヨシノ桜」と呼んでいましたが、
まちがいを避けるため、後に染井村の名と合わせて「ソメイヨシノ」
と呼ぶようになりました。
・・・
「あなたの大切なものは何ですか?」
「僕は、歴史が好きです。」

1868年、明治政府は江戸を東京という呼び名に変え、
東京府が誕生しました。
大正時代の1923年、関東大震災が起き、
10万人以上の死者・行方不明者が出ました。
苦難を乗り越えた東京ですが、
震災からわずか10年で人口が500万人近くに増え、
昭和時代の1932年には、人口世界2位の大都市となりました。

1941年には太平洋戦争がはじまり、
200万人以上の日本人が命を落としました。
「僕の大切なものは、平和を生む心です。」

この戦争中である1943年に、東京都が発足しました。
1945年に終戦を迎えると、
2年後の1947年、日本政府は日本国憲法を施行しました。
悲しみを胸に、1950年代から約20年間
日本は経済的に大きく飛躍しました。
この時期を「高度経済成長」期といいます。
1960年代には都の人口が1000万人を超え、
1964年には東京オリンピックが開かれました。

1989年に平成時代が始まりました。
1990年代には、新宿に新都庁が誕生して、
現在に至っています。
・・・
東京都では、災害対策が課題となっています。
ミュンヘン再保険会社(2012年時点で世界最大である、
ドイツの再保険会社)は、
2003年、「世界大都市の自然災害リスク指数」を発表しました。
これによれば、世界の主な50都市の中で、
東京における災害への危険性は他の都市を大きく引き離して1番に高く、
その危険度はロサンゼルスの7倍、ロンドンの約20倍、
北京の40倍以上です。

東京湾の下には、太平洋プレートをはじめ、
3つの厚い岩盤が重なっています。
そのため、この地点を震源とした、
直下型地震の起こる可能性が高いのです。
2016年までに、マグニチュード7クラスの地震が
約7割の可能性で起こることを、東京大学地震研究所は公表しました。

これを受けて、
東京都は防災のための政策をおこなっています。
都は、以下4つを柱にして、対策を取っています。
1.東京都でも国とは別に対策を立てること
2.首都直下地震が起きた時の東京における被害予測
3.地震により、自宅に帰ることができない人々への対応
4.地域ぐるみで助け合う、隣組づくり
「あなたの大切なものは何ですか?」
「みんなで手を差し伸べあうことです。」

また、東京都の防災ホームページでは、
家庭、地域、職場、それぞれの場所において
必要な対策を60項目以上紹介しています。
・・・
「あなたの大切なものは何ですか?」
「私たちが歩む、人生です。」

東京都では、未婚率が高くなっています。
総務省がおこなった2005年の国勢調査によれば、
東京都民の未婚率は、31歳男性が約61%、
28歳女性が約64%です。
(全国平均では、男性31歳、女性28歳までは未婚率が50%以上ですが、
男性32歳、女性29歳以降は結婚している人が50%以上になります)
これは全国で1番高い割合です。
内閣府が出版している国民生活白書は、
未婚でいる理由として、1位「結婚したい相手にめぐり会わない」、
2位「金銭的に余裕がない」ことを挙げています。
「私の大切なものは、心に愛をもつことです。」

高い未婚率は少子化を進めます。
朝日新聞が出した予測によれば、1990年生まれである女性の場合、
子どもをもうけない人が3割以上、孫をもたない人が5割に及びます。
少子化はやがて人口を減少をさせます。
2020年以降、生まれた赤ちゃんの2倍の人が毎年亡くなっていくと、
いわれています。
人口が減少すると、働ける人も減ります。
労働力が少なくなると、
東京、そして日本の経済は衰えてしまいます。

NPO全国結婚支援機構は、都市と地方において、
少子化への対策と地域の活性化をすることにより、
豊かな人と幸せな家庭を増やすことを目標にして、事業をおこなっています。
このNPOは、未婚者や再婚希望者に向けて、
1.結婚への悩み相談やイベント開催などの支援事業
2.結婚相手紹介事業所の指導・育成・募集
などのプロジェクトを実施しています。

民間組織が、行政や企業につづく架け橋として、
人々が積極的に参加し、支援しあえる場を提供することにより、
社会に貢献できると、このNPOは述べています。
・・・
「あなたの大切なものは何ですか?」
「私は、家族とずっといっしょにいたいです。」

日本では、全国ほぼすべてで
少子化が問題になっています。
その中でも、東京都で、
最も問題となっています。
厚生労働省の2011年の人口動態統計で、
都道府県の出生率は、沖縄が最も高く、
東京は最低でした。
この理由は、働きながら育児をする人にとって、
仕事と生活の両立が難しい状況だからです。

これを受けて、
働きながら子育てをする社員を応援する企業が増えています。
例えば、株式会社ベネッセコーポレーションは、
岡山県に本社がありますが、
東京都の多摩市にも、
第二の業務拠点を持っています。
この会社は、社内全体で、
仕事と家庭の良いバランスを取るための工夫をしています。

この企業は、以下のような制度を整えています。
1.育児休業を、
法律で定められている『1才6ヶ月まで』よりも、
さらに長くとれるようにしました。
2.子どもが小学3年生になるまで、
勤務時間が短くても良し、
とする制度を作りました。
3.子育てが終わった後、
社員が職場に戻り易いように
アンケート調査や研修を始めました。

こうした努力の結果、この企業は、
2007年に「くるみん」マークを取得しました。
くるみんとは、子育てを手助けするための取り組みを計画・実行し、
その成果がでた企業を認定するものです。

(「くるみん」のマーク:厚生労働省のホームページより)
くるみんは、子どもを温かく「くるむ」ことと、
会社「ぐるみ」で仕事と家庭の両立を目指す意味をあらわしています。
厚生労働省は、2008年、
仕事と育児の両立を目指す企業に贈る厚生労働大臣最優良賞に
この企業を決定しました。
・・・
「あなたの大切なものは何ですか?」
「涼しい自然の中で、遊ぶことです。」

東京では、温暖化が問題になっています。
特に、都市部では「ヒートアイランド」現象への対策が課題です。
ヒートアイランド現象とは、
エネルギーをたくさん消費することなどにより、
都市部の気温が周りの地域と比べて高くなる現象です。
東京都心の年間平均気温は、この100年間で4℃高くなりました。

この現象の原因には、さまざまなものがあります。
たとえば、都市部は人口が多く、高層ビルがたくさんあります。
ビルの中を冷房によって冷やすと、その分の熱を建物の外に出すため、
外の気温が上がります。
建物そのものも、昼間に受けた周りからの熱を夕方から夜にかけて外に出すため、
夜になっても気温があまり下がりません。
また、自動車やトラックなどがエンジンをかけている状態も熱を出します。
都市部には森林などの緑地や池、湖などの水辺が少ないため
自然による冷やす効果が小さいこともあげられます。

これを受けて、
NGO世界自然保護基金(WWF)ジャパンは、
温暖化防止に向けた取り組みを行なっています。
2003年、このNGOは佐川急便株式会社と協力して、
温暖化防止プログラムをはじめました。

これを「クライメート・セイバーズ・プログラム」といいます。
環境問題対策へ意欲的に取り組んでいこうとする、世界の企業が
NGO世界自然保護基金とともに温暖化防止を目指す試みです。
このプログラムは、企業とNGOが話し合って自分たちの目標を定め、
別の機関による客観的なチェックを行うので、
取り組みは信頼度の高いものとなります。
「大切なものは、地球です。」

佐川急便株式会社は、2003年からこの活動に参加しています。
「2002年度に比べて、一年間の二酸化炭素排出量を、
2012年度までに6%減らす。
そのために、石油に比べると、CO2排出量の少ない天然ガスで走るトラックを
約7000台導入する」という目標を決めました。
2002年度以降、毎年の進み具合をホームページ上で発表しながら、
この企業はプログラムを進めています。
2011年度の発表によると、これまでに7%以上の削減を果たしました。

トラックを使って長い距離を運転する運輸業界にとって、
二酸化炭素の排出量を減らすのは難しいことです。
2012年3月現在、世界で28の企業がこのプログラムに参加しています。
佐川急便株式会社は日本最初の参加企業であり、
運輸業界では世界初でただ一社の企業です。
これを受けて、
株式会社産業経済新聞社が主催した、第13回地球環境大賞は、
地球環境会議が選ぶ優秀企業賞を、佐川急便株式会社に贈りました。
・・・
「あなたの大切なものは何ですか?」
「健康です。」

東京都では人口10万人当たりの病床(病人が寝るベッド。)数が少なく、
そのための対策が必要です。
厚生労働省の調査によると、
東京都における2010年の病床数は、人口10万人当たり約970床で、
全国にある47都道府県の中、43番目という低さです。
その中でも、療養病床(高齢者など、介護が必要な患者に向けた
長期入院用のベッド)数は人口10万人当たり約150床で、
全国で45番目と、最下位に近いです。
「大切なものは、ぬけた歯です。」

東京都には高度な医療技術があり、全国から多くの患者が集まってきます。
各地域にいくつ病床を設けるかを決める制度がありますが、
現在、全国で統一された計算方式によって厚生労働省が決めています。
その地域に住む住人あたり何床つくると決まっており、
他県からやってきた人々の分は、この計算式に入っていません。
このため、すでにある病床が基準の数に達している場合、患者が増えても、
病院などを新しく開いたり増やしたりすることができません。
東京都では、2015年までに高齢者が急激に増え、
それ以降も増え続ける中で、
さらに病床数が足りなくなると都は予想しています。

これを受けて、石原慎太郎東京都知事は、
小宮山洋子厚生労働大臣に対して、以下のような緊急提案をしました。
今後、基準病床数を決める計算方式を相談する時には、
1.入院患者が他の地域から多くやってくることなど、
東京都における地域の特性を考慮して、計算方式に反映させること。
2.病床数の計算方式に高齢化や人口の伸び率を加えるなど、
将来見込まれる医療の状況を反映させること。
・・・
「あなたの大切なものは何ですか?」
「どこで生きていても、同じ太陽にてらされて、同じ月を見てる
そういう、つながりです。」

おわりに、
2012年に、この記事を書いた私の感想を書きます。
東京には、「2020年の東京」という、
大きな目標があります。
その中の、いくつかを抜粋します。
目標1 高度な防災都市を実現し、東京の安全性を世界に示す
目標3 水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる
目標4 陸と海と空を結び、東京の国際競争力を引き上げる
目標6 少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示す
目標7 誰もがチャレンジできる社会を創り、世界に羽ばたく人材を輩出する
これらの目標を土台にして、描く都市像が東京にはあります。

東京は、2020年には、どんな姿になっているのでしょうか。
上へ上へと伸びていく都市であるとともに、
「幸せを感じられる力」、「幸せをわけあえる力」
のある東京になっていたらいいな、と私は願います。
・・・
・・・
絵と写真を集めた人:
山本敏晴(2003,2004,2006,2007年)
画像データを編集し、文章を書いた人:
渡部香織
編集完了日:
2012年9月17日
監修・校正:
山本敏晴
企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/
人物が写っていない画像は、
以下のフリー素材会社から提供を受けたものもあります。
(株)データクラフト「素材辞典」
http://www.sozaijiten.com/