2011年10月26日

デンマーク Denmark



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アメリカの調査会社が2010年におこなった報告では、
「住民が幸せと感じている割合が最も高い国」は、
デンマークでした。

つまり、デンマークは、
世界で一番幸せな国と、言えるのかもしれません。

さて、一体どのような国なのでしょうか?

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デンマークは(ドイツの北の)ユトランド半島と400以上の島からなる
九州と同じくらいの大きさの国です。
首都はコペンハーゲンです。

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多くの人が小さい頃に読んだことがあるであろう、
「マッチ売りの少女」「みにくいアヒルの子」「人魚姫」などの
有名な童話を世に送り出したアンデルセンの出生地でもあります。

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(アンデルセンの像)

デンマークの国旗は、
「赤い布」を意味する「ダネブロー」と呼ばれています。

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この旗には、
1219年にデンマークがエストニアの異教徒と戦っている最中に、
赤地に白十字の旗が天から舞い降りてきて戦況が一転し、
デンマークが勝利をおさめたという伝説が残されています。

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デンマークの『政府』は、EU(欧州連合)の活動を重視しています。

1973年には他の北欧諸国に先駆けて欧州共同体(EC)の加盟国となっています。
2002年後半にはEU議長国を勤め、EU拡大交渉を成功に終わらせました。

しかし、デンマークの『国民』の多くが
ヨーロッパ諸国が一つになることに慎重な姿勢を示しています。

2000年9月に実施されたユーロの参加に関する国民投票では、
反対が53.1%、賛成が46.9%という結果になり、
参加が否決されてしまいました。

現在もなお、デンマークはユーロに参加出来ていません。

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「ぼくの大切なものは地球。
  世界中の人の家は地球だからです。」

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デンマークは環境対策先進国として、
地球温暖化、気候変動などの、
地球規模の環境問題に対し積極的な取り組みを見せています。

2009年には気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)議長国として、
コペンハーゲンにおいて首脳会合、官僚級会合を主催し、
「コペンハーゲン合意」に向けて力を尽くしました。

(コペンハーゲン合意とは、2020年までに
 先進国は明確なCO2削減の数値目標を設定し、
 途上国は、CO2削減のための行動目標を作成する、
 などという内容に対し、世界各国が、結局は合意せず、
 「留意(ある程度、気にすること、take note)」をし、
 完全な決裂は避けたもの。)

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デンマークは、
環境立国(環境保護先進国)と言われることがありますが、
「環境を保護しない」一面があります。

「私の大切なものはカラフルなデンマークの自然です。
だんだんデンマークから色がなくなっていくのは悲しいです。」

(ここに挿入する絵と写真を現在、検討中です。)
(参考 RIMG0702_e.jpg DNM_11_e.jpg)



デンマーク人は、1人辺り年間800キログラムのゴミを捨てています。

オランダでは年間630キログラム、
イギリスでは570キログラムのゴミが捨てられていますが、
デンマークでは、その約1.5倍のゴミが捨てられています。

これでは、環境保護先進国の名が汚れてしまいます。

このような現状に
Network for Ecological Education and Practice(ECO-NET)という
デンマークの団体は、
教育関係者や環境問題に興味のある人々に向けて、
環境に関する先導的な取り組みの紹介をしています。
"Eco-net Newsletter" というものを年に6回発行しています。

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デンマークについて、
よく知られているのが教育です。

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デンマークでは小学校から大学までの授業料が無料。
そのため、高校までの就学率は世界で4位といった位置にあります。
(参考までに日本は43位)

「私のたいせつなものは家族と友達です。
 こうして勉強が出来て遊べるのも家族のおかげだからです。」

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デンマークの教育方針は「労働力を育てる」ということです。
初等教育から成人教育まで職に繋がるような教育の枠組みが出来ています。

(2011年の総選挙で社会民主党を中心とする中道左派が勝利しています。)

しかし、この教育制度には、落とし穴があるようです。

教育を受けることが出来ずにいる若者が20万人以上おり、
無職である若者が6万人以上います。
さらにインターンシップの受け入れ先が見つからない者が
7千人以上いることが分かっています。

そのため、国の方針として、
教育機会にアクセス出来る環境をつくり出すことを
目指しています。

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デンマークの経済に教育制度を良くするゆとりはあるのでしょうか?

実は、
他のヨーロッパ諸国同様にデンマークの経済も良くないと言えます。

2008年4月には歴史的に低い失業率の1.7%を記録したものの
2009年9月には4%にまで上がり、それ以降上がり続けています。

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もう一つの大きな社会問題は、
個人の所得税額の高さです。

デンマークの個人の所得税はとても高く、最高税率は59%と
お給料の半分以上を取られてしまいます。

そのため、最近では、
稼げる間はデンマークにいたくないという人も増えているようです。

しかし、この税金制度のおかげで、
福祉がとても充実していて、
「福祉国家」としても知られているのはご存知でしょうか?

誰もが無料で病気の治療を受けることが出来ますし、
さらには出産のための入院に、お金がかかりません。
(日本はかなりお金がかかります。)

失業手当、低所得者、ホームレスなどに対する
手厚い助成金制度もあります。

このことが原因で、
最近では若者が就職せず、
あえてホームレスを選ぶデンマーク人が増えているようです。

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さらに、デンマークには移民の問題があります。

かつて、周辺諸国が行ってきたように、
労働力不足を補うため、
難民や外国人労働者を意欲的に受け入れてきました。

しかし、あまりにも外国人が増えてしまったため
デンマーク人が自分の国で就職出来ないという
(当時は)予想していなかった状態になってしまいました。

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「私のたいせつなものは平和と愛です。
  平和で愛に溢れていたらみんな仲良く生きていけるからです。」

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最近、デンマークの与党は外国人を追い出すための合意をしました。

しかし、外国人と言っても「反社会的」な外国人に限られます。

与党の定義する「反社会的」な外国人とは、
溶け込めないあるいは溶け込もうとしない外国人だとのこと。。

一方、
ただ追い出すのではなく、
母国に戻った場合には帰還手当として約50万円を渡すそうです。

また、新しい取り決めでは、
(自国へ)帰還し、デンマークの居住権を放棄すれば
さらに10万円をボーナスとして渡すそうです。

このような具合で、デンマークへの移民に、
(高い失業率の)しわ寄せがくるのは確実です。

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さいごに

日本とデンマークは、
江戸幕府の修好通商航海条約(1867年)からの、
とても長い外交関係があります。

また、
欧州最古と言われるデンマーク王室ですが、
世界最古の王室である日本の皇室と、
親密な関係を続けています。

先進国ということもあり、
日本のNGO(非政府組織)やJICA(国際協力機構)が
支援をしているといった例などは、あまり見受けられませんでしたが、
今回紹介したような、
デンマークに今ある問題は、
今の日本でも、よく探せば見つかることなのかもしれません。

ですので、是非この機会に
日本を見直すことをしてみてください。

きっとデンマークと共通するものがあることでしょう。





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絵と写真を集めた人:

上記に掲載された写真のうち、人物が写っているものは、
以下の方が提供して下さいました。

山崎潤子

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画像データを編集し、文章を書いた人:
寺町華子

編集完了日:
2011年10月26日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

上記に掲載された写真のうち、
人物が写っていない写真の一部は、
以下のサイトから提供されたものもあります。
トリップアドバイザー
http://www.tripadvisor.jp/



posted by お絵描きイベント at 15:58| 日記