
マレーシアは「1(One) Malaysia」をスローガンに掲げる多民族国家で
経済発展の著しい東南アジアの国です。
マレー系・インド系・中華系、
そして多数の部族で構成される先住民族など、
いろいろな人種の人々が共に暮らしています。

国教はイスラム教ですが、他民族国家を反映して
イスラム教以外にも仏教やキリスト教、
その他の宗教を信仰している人もたくさんいます。

国土はマレー半島部分とボルネオ島部分を合わせると
約33万平方キロメートルで
そのうちの約60%が熱帯雨林で覆われています。
マレーシアの熱帯雨林にはアジアゾウなどが生息する場所や、
たくさんの生き物を育んでいるマングローブ林など、
様々な生態系が存在しています。
あなたの大切なものは何ですか?
「私の大切なものは、ここから見える綺麗な山です。」


マレーシアという国名は「ムラユの国」という意味があります。
ムラユとはサンスクリット語で「山脈のある土地」を意味する
「マヤラドヴィバ(Malayadvipa)」を語源としています。
マレー半島とボルネオ島の一部から構成されるこの国には
美しい砂浜や南国の熱帯雨林、
そして国名にも表されるような荘厳な山々があります。
あなたの大切なものは何ですか?
「僕は空港で飛行機を見るのが好きなんだ」
(ここに挿入する絵と写真を現在、検討中です。)
(参考 _DSC0082a.jpg M_T_02a.jpg)
マレーシアの空の玄関口であるクアラルンプール空港。
この空港の建設には、日本の竹中工務店や大成建設が関わりました。
たくさんの日本の企業がマレーシアに進出しています。
東南アジア地域では、タイに次いで2番目に日系の企業が多い国なのです。
海外の企業が進出することによってマレーシアの経済は急成長してきました。

マレーシアの経済レベルは世界200か国中、現在57位(2010年)です。
急成長しているマレーシアの経済の波に乗ろうと、
約1400もの日系の企業がマレー半島を中心に進出しています。
今後も日本はもちろん、たくさんの国の企業がマレーシアに進出していくでしょう。

経済の発展に伴い、女性の社会進出も徐々に進んできています。
でも、子どもの数は昔と変わらないままです。
6人、7人と子どもがいるお母さんも珍しくありません。
女性の社会進出が急にすすんだものの、
それを支える体制はまだまだ整ってはいないのです。
そのため今、乳幼児に対する虐待や放置といった問題が起こってきています。
あなたの大切なものはなんですか?
「僕の大切なものは、家族と一緒にいられる時間です。」

ユニセフはマレーシア政府と共同で特に5歳未満の子どもとお母さんを支援する
プロジェクトを始めています。
乳幼児に優しい保育施設をつくることでお母さんの負担を減らし、
こどもへの虐待をなくしていこうという試みです。
特に貧しい家庭の子どもにとって
このプロジェクトはなくてはならないものになりました。

1980年代にユニセフ・マレーシアは乳幼児の死亡を少なくするために
ワクチンの配布や医療システムの構築を行ってきました。
その成果もあり、マレーシアの乳幼児死亡率は先進国並みに低くなっています。
これからはマレーシアが元気に子育てをすることが出来る国になることを目指して
ユニセフは頑張っています

ところで。日本はエネルギー資源の9割以上(原子力は除く)を輸入に頼っています。
その中でも日本に輸入されている天然ガスのうち20%は
マレーシアからのものだということはあまり知られてはいません。
天然資源やパーム油を輸出することで
マレーシアの経済はどんどん成長してきました。
しかしながら著しい発展の中で、みんなが少しずつお金持ちになっているかというと
そういうわけでもありません。
お金をたくさん稼いでいる人もいる一方で
頑張って働いてもあまりお金を得られない人もたくさんいます。

マレーシアは1957年にイギリスから独立しましたが、
多民族国家のため、民族間の対立などもあり
1965年にシンガポールが独立しました。
その後も宗教対立や賄賂といった問題を抱えたまま成長しているため
都会と地方では貧富の差がとても激しいのです。

マレーシアには近隣のフィリピンやインドネシアから
仕事を求めてたくさんの移民がやってきています。
でも、なかなか良いお金を得られる仕事をみつけることが出来ない人も
少なくありません。
移民の問題や宗教対立のためにお金がなく
こどもたちが学校にも行けずに路上で生活をしているような地域もあります。
あなたの大切なものは何ですか?
「わたしの大切なもの、それはおうちです」

NGO団体のCFFマレーシア(Caring Future For the Malaysia)は
特に移民が多いボルネオ島のサバ州に
「こどもの家」を設立しています。
ボルネオ島のサバ州は移民の問題に加え、
農村での貧困や都市部との経済格差、
なかなか行き届いていない福祉や教育、
宗教や民族による差別などたくさんの問題を抱えている地域です。
あなたの大切なものは何ですか?
「私の大切な物…勉強かなぁ」

CFFマレーシアは「こどもの家」をつくることによって
貧しさの故に学校へ行けなかったり、
路上で暮らしているこどもたちに
教育の機会や食べ物・住居の提供を行っています。
よりたくさんの子どもたちが将来に希望を見出すことができる、
そんな未来を目指して。

定年を迎えた世代の人々がその後の生活を海外で過ごす
ロングステイが近年増加しているといわれていますが、
その中でマレーシアは定年後に住みたい国第一位(2006年〜2010年)に
選ばれています。
人気の理由のひとつに豊かな自然があげられます。
特に東マレーシア、ボルネオ島には貴重な動植物がたくさん生息しています。
あなたの大切なものは何ですか?
「私の大切なものは、家の周りに溢れる自然です」


多くの動植物の住処である熱帯雨林を宇宙から眺めてみると、
開発によって引き起こされた森林の減少や泥炭火災が確認されるのです。
マレーシアでは、600種類以上の植物と
450種類以上の動物が絶滅の危機に瀕しています。
マレー語とインドネシア語で「森の人」を意味する
オランウータンもそのうちのひとつです。
あなたの大切なものは何ですか?
「たくさんの生き物です」


大切な動物や植物を守ろうと、JICAは地元の政府と協力しています。
「ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム」(BBEC)の中で
環境を守るために必要な知識を地元の人々に伝えているのです。
どんな生き物がいるのか、彼らを守るためには何をしていけば良いのか。
その地域に住む人たちと一緒になって考えています。
世界中で最も豊富ともいわれる生物多様性を守るために。
豊かな森が少しずつ失われていくことで動物たちが住処を失っています。
住処を失った動物たちが畑を荒らしたり、
開発の影響をうけてエビの養殖が被害をうけてしまったがゆえに
村の人々が現金収入を得ようと土地を売ってしまうこともあります。
あなたの大切なものは何ですか?
「僕の大切なものは…故郷です。自然が豊かでとてもきれいなところです」


売られた土地は伐採されてしまったり
アブラヤシの農園にされることも多々あります。
土地が開発されることによって動物たちの住処は更に減少していくのです。
豊かな森が開発によって失われることを防ぐために
森の保全と村人の収入、この2つを共に得るために
BBECが提案してきた活動のひとつである
エコ・ツーリズムの導入も地元住民にも受け入れられ始めています。
あなたの大切なものは何ですか?
「僕の大切なもの、それは、海と山と空と・・・・」


マレーシアは2020年までに先進国の仲間入りをすることを目標に掲げていますが、
急速な経済発展と伝統的な暮らしの狭間にたくさんのひずみがうまれています。
世界中で最も豊富といわれるたくさんの生物が暮らしているマレーシアという国で、
この国にに暮らす人々が、こどももおとなも皆笑顔で暮らしていける、
そのような発展がなされていくことを願ってやみません。

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絵と写真を集めた人:
エリーさん、Toddさん、小柳さん
画像データを編集し、文章を書いた人:
大川 絵美
編集完了日:
2011年8月11日
監修・校正:
山本敏晴
企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/