2010年12月02日

ニジェール Niger

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サハラ以南アフリカ諸国の中でも最貧国の一つであるニジェール。
この国は、人々の生活水準や経済の発展度合いを示す指標である人間開発指数(※)が、2007年に全世界177ヵ国中の最下位にランク付けられ、国民の6割が1日1ドル以下で生活しています。

(※人間開発指数とは、1)出生時平均寿命、2)成人識字率 (15歳以上)、3)初等・中等・高等教育総就学率、4)一人当たりGDP、以上の4つの指標から算出するもの。)

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「あなたの大切なものは何ですか?」

「私の大切なものは、村の学校と私のお母さんです。」

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ニジェールの成人識字率(国連開発計画(UNDP),2007)は、28.7%で、下から第三位。高校までの就学率(UNDP,2007)は、27.2%で、下から第二位と、教育水準においては世界でも最低ランクです。

また、ニジェールには約6,200人ほどの教員がいますが、その約8割が契約教員であり、そのほとんどが教育学に関する教育を一切受けていません。
他のサブサハラ諸国と比較しても、その低い教育レベルや政府の財政難により、初等教育総就学率52%、中等教育総就学率15%と低いのが現状です。(2006年時点)

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そうした教育現場や教育者が不足しているとゆう現状から、「学校」を大切だと答える彼女の、教育を欲する思いが汲み取れます。日本では「義務」である学校も、ニジェールの子どもたちにとっては大切な学びの場所なのです。

これらの現状に対し、国際協力機構(JICA)は、2007年4月から、住民参加型の学校運営を促す「住民参画型学校運営改善計画」を行っています。

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今回のプロジェクトでは、「教育開発10カ年計画(2003〜2012)」において、初等教育総就学率を2002年の41.7%から2012年には94%まで向上させることを目標としています。
また、ニジェールの中学生の理数科学力向上を目標し、質の高い教員の育成を目指したプロジェクトも行っています。

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「あなたの大切なものは何ですか?」

「私の大切なものは、赤ちゃんです。」

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ニジェールは、妊産婦死亡率が世界11位、五歳未満子ども死亡率が世界12位と、世界で最も当該死亡率の高い国のひとつです。(2008、WHO)
2008年のWHO調べでは、出生千人あたりの五歳未満子ども死亡率は、日本が6人なのに対して167人。つまり、生まれてくる子どものうち、およそ6人に一人が亡くなっているのです。

高死亡率の原因にはマラリア、呼吸器疾患、下痢症疾患が挙げられますが、特にマラリアは主要疾病の1位であり、そのほとんどがマラリアの中で最も死亡率の高い種類である熱帯性マラリアです。

子どもが亡くなっていくことが日常である環境に暮らす彼女にとって、「赤ちゃん」は儚く、大切な存在なのでしょう。
妊産婦死亡率、五歳未満子ども死亡率共に高いニジェールにおいて、子どもを生むことも生きることも、命懸けなのです。

国境なき医師団(MSF)は、こうした現状を受けて、ニジェールで繰り返される栄養危機に2001年から対応しており、2009年には、国境なき医師団の支援する栄養治療センターで8万6000人の栄養失調児が治療を受けました。

また、三井住友フィナンシャルグループは、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、ニジェールにおける産院での幼児と妊産婦のための医薬品の購入、ワクチンやマラリアの治療薬を住民に提供する事業に寄付をしました。

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「あなたの大切なものはなんですか?」

「森を守ることです。」

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ニジェールは国土の3分の2を砂漠が占め、北部は乾燥し、主な産業である農業は南部に限られています。しかし、南部全域がサヘル地帯(サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域)に属しており、近年砂漠化が激しくなっています。
また、森林の減少は、自然環境によるもののみでなく、人々が料理に使う燃料のために行う森林伐採も深刻な問題となっています。

農業が主要産業であるニジェール。既に国土の大半が砂漠であるのに、さらに砂漠化が進めば国の産業への影響は計り知れません。

こうした森林破壊への対策として、スペインバルセロナに拠点を置く「Tree-nation」は、ニジェール内の砂漠に巨大なハートの形になるように800万本の木を植える活動を行っています。
このプロジェクトでは、ウェブ上で一本千円から二万円の木を購入し、その木に名前とメッセージをつけることができます。
若手企業家により立ち上げられた、新たな収益モデルを持つ営利組織です。

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「私の大切なものは給水塔です。」

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自給農業が中心であるニジェールですが、降雨量は少なく灌漑も発達しておらず、水源も乏しいため、ほとんどは天水農業です。そのため降雨量に収量は大きく左右され、しばしば干ばつが起こります。

こうした現状に対し、日本外務省は、2009年、給水施設建設と施設の維持管理を目的に、7億3000万円の無償資金協力(お金を与えること。返さなくてよいもの)を行うことを発表しました。

森を守ることが大切だと言った少年も、給水塔が大切だと言った少年も、その背景にはこうした砂漠化に対する危機感が読み取れます。
生きていくためには木を切らなければならないこと。それを知っていながらも、「森を守ること」が大事だと答えた少年は、資源に感謝する気持ちを既に持っているのかもしれません。

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「あなたの大切なものは何ですか?」

「学校でドーナツを売ることです。」

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(残念ながら本人写真はありません。)

アフリカ諸国において、貧困による栄養失調は深刻な問題です。
ニジェールでは、3歳未満児がもっとも影響を受けており、その15.5%が急性栄養不良です。

幼い子どもたちの栄養不良率が高い理由には、年齢に適した食糧を入手できないこと、食習慣の問題、基本的な保健サービスが不足していることのほかに、女性や保護者となる人々に、子どもを守る情報、教育、支援サービスなどが行き届いていないこと等が挙げられます。

この絵を描いた少女も、家計を支えるために働いているのでしょう。お金を稼ぐことが生きていくことだと知っているからこそ描いた絵なのかもしれません。

これらの問題に対し、国連児童基金(UNICEF)は、栄養失調児に対し、母乳の推進や、補助食品の支援を目的とし、その目的達成のために、そうした活動を行う援助団体に対する援助を強化しています。

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以上挙げたように、ニジェールは現在、教育水準、妊産婦死亡率・五歳未満児死亡率や栄養失調、砂漠化による産業危機等様々な問題を抱えています。

また、同国は、ジェンダー不平等指数(2008、UNDP、計算できた138カ国中)が下から第三位であり、女性の権利保障環境が劣悪な国です。また、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)については、計算することすらできない(国が統計指標を集めることができない)国でもあります。

このように、様々な問題を抱えているニジェールですが、問題を抱えている国であっても、自分の国はやはり自分の国。
文化と開発の共存は難しい問題ですが、そのような環境の中で力強く生きる現地の人々と、国際協力団体とで協力し合い、少しでもこの現状を改善・打破し、よりよい国になることを願います。

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補足情報:
最新の国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書2010」では
ニジェールの「人間開発指数」は169ヶ国中167位。





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絵と写真を集めた人:
1.青年海外協力隊・原田唯
(2008年07月〜2010年7月)
2.青年海外協力隊・三浦
(2004年12月01日〜2006年12月31日)
3.青年海外協力隊・看護師・大野真理
(2010年04月28日〜2012年4月27日)
4.青年海外協力隊・山田直之
(2010年06月〜2013年6月)
5.青年海外協力隊・柿沼久美子
(2010年09月〜2012年9月)


画像データを編集し文章を書いた人:
周東明美

編集完了日:
2010年12月9日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

posted by お絵描きイベント at 13:53| Comment(0) | 日記
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