セントルシア Saint Lucia

セントルシアはカリブ海の東に浮かぶ熱帯の島国です。
大きさは淡路島くらいで、15万人ほどの人々が暮らしています。
国旗にある三角形はセントルシア島を、
青色は大西洋とカリブ海を表します。

黒色と白色は黒人と白人が協力し合おうということを意味し、
黄色は太陽と国土を象徴しています。
国を象徴するものの一つに、
海岸部にピトン山と呼ばれる双子の火山があります。
正式名は「ピトン管理地域」で、
2004年には世界遺産として登録されました。
セントルシアはイギリスから1979年に独立。
日本はこれを同年3月9日に承認しました。
しかし、イギリス連邦の一員であることから
国王は英国王のエリザベス2世です。

公用語は英語です。
かつてはフランスがセントルシアを占領していたこともあり
フランス語系パトワ語を話せる者も多く存在します。
学校の授業は、(当たり前ですが)英語で行われています。


日本が6・3・3制であるのに対し、
セントルシアでは7・10・5制と
かなり教育に熱を入れていることが伺えます
。
(義務教育期間は5歳から15歳となっています。)
「私の大切なものは 教育 です。
勉強できることが、とても嬉しい!」


途上国では珍しく、8割以上の子どもたちが就学します。
さらに、小学校では学区がないことから空きのスペースがあれば
セントルシア内のどこの学校へ通っても良いのです。

教育に関する問題はないかのように思えますが・・
中学校への入学はとても厳しく
試験に合格しなければ入学することが出来ません。
合格することが出来なかった子どもたちは
中学校にいけなくなってしまうという事態が生じています。
では子どもを含めた社会的弱者(貧しい人など)に対するサービスは
どうなっているのでしょうか。
結論から言うとあまりサービスが行き届いていません。
@生まれつき、事故などにより障がいを持った人々が
社会に復帰するための手助けをする人がいない
Aセントルシアは世界で最も疾病率が高いと言われる
糖尿病の予防対策が打たれていない
B国民の肥満度が高い
などどいう問題があります。
「私の大切なものは 友達 です。
どんな時も助けてくれるから!」
(ここに挿入する絵と写真を現在、検討中です。)
(参考 CIMG3638_e.jpg CIMG3567_e.jpg)
社会的弱者へのサービスが行き届いてないという問題点から
青年海外協力隊(JOCV)は
セントルシアの社会的弱者を支援する人材を育成、
また若年層・農村女性が観光業からの利益を受けられるための
収入向上サービスを2010年度に実施しました。
このサービスは2012年度まで続くそうです。
1997年そして2001年共に、
同じ男の人が首相となりました。
彼は経済成長を順調に進めたものの、
自らの地位を利用し個人的利益追求をしているといった疑いや
治安の悪化
そしてセントルシアにとって重要な農業を警視してきたのではないか
という国民の不満が募り爆発しました。
その後の2006年に行われた選挙で、新たな首相が誕生。
彼は、農業・観光・軽工業の育成を掲げていたことが大きなポイントとなり、
首相になれたのではないかと思います。

しかし、残念なことに就任してわずか1年後、
亡くなってしまいました・・
彼の代わりに首相となったのがキング前保健相(日本の厚生労働相)です。
2007年末に行われた選挙でもキングが政権を勝ち取りました。
彼による国の運営は2011年現在も順調に行われています。
セントルシアは国内伝統産品のバナナ輸出を中心とする農業と
観光に大きく依存していました。

しかし80年代中ごろから色々なことをしてみよう
といった経済作りが始まり、
セントルシアではあまり伝統的ではない物の生産や畜産業に力を入れ
ています。
「僕の大切なものはピトン山!
いろんな国の人が来てくれるから!」


最近、セントルシアの近くにあるカリブ諸国や他のビーチリゾートとの
競争が激しくなってしまったため、
力を入れている観光部門における収入は伸び悩んでいます。
また、セントルシアは外資ホテルが多く、
ホテルの大事な管理職は外国人が乗っ取っていて
セントルシア人はメイドやウェイターなどの低収入の職に就いています。
オックスファムでは、セントルシアのような途上国の生産者グループなどが
企業活動により貧困を解決することを目的にし、
無償もしくはローンでの資金提供・技術アドバイス・ビジネストレーニングを
提供しています。
セントルシアでは野菜生産と卸売りのサポートをしたようです。

2010年にハリケーン「トーマス」により
大きな被害をセントルシアは受けました。
主要輸出品であるバナナ栽培が壊滅、
全土で断水、
建物の倒壊、
被害者数は2万名以上と深刻な事態が起きました。
「私の大切なものは 家 です。
ハリケーンの時に守ってくれたから!」


日本はハリケーンによる被害に対し、
800万円相当及び700万円ほどの発電機や浄水器などの緊急支援物資を
提供しました。
特定非営利法人ライフフォーラムジャパンでは
セントルシアで被害が起きている中、敢えてハイチへ支援をしようと
『国が困難な状況にあるからこそ、より悲惨な立場のハイチの人々を
支援するプロジェクトを行うことが、自分の国を救うことにもなる』
というプロジェクトを提案し、進めている最中です。
セントルシアには、そのほかにも環境問題があります。

日本のようにゴミを分別しないことや
ゴミ収集車が来ない日にも限らず、どんどんゴミを捨てていっています。
(ペットボトルだけは分別するのだとか。。)
このような事態が永続的に行われた場合、
観光地として成り立たなくなってしまうかもしれません。
リゾート地として有名で、
多くの有名人が足を運ぶセントルシア。
2010年のハリケーンの被害は、相当なものでした。
現在、日本が震災問題で苦しんでいるように、
セントルシアの人々も未だに災害の影響により苦しんでいます。
自然災害というものを食い止めるのは難しくとも、
安全対策を進めれば
もっと多くの人がセントルシアを訪れるようになるでしょう。
そのためにも国と国とが
助け合い知恵を広めていくことが大事だと思います。
住みやすい世界になるといいですね

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絵と写真を集めた人:
田中麻紀子(青年海外協力隊)
画像データを編集し、文章を書いた人:
寺町華子
編集完了日:
2011年9月28日
監修・校正:
山本敏晴
企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/