マダガスカルはちょうどアジアとアフリカが交錯する地に存在する、
日本と同じ島国です。
世界で4番目に大きく、「大きな島」という愛称でも知られています。

公用語はマダガスカル語とフランス語です。
なぜ公用語にフランス語が含まれているのか。
それは、
フランスにより植民地化されていた時代背景があるからだと言えるでしょう。

(マダガスカルジャスミン)
宗教は主にキリスト教、イスラム教そして独自の伝統宗教を信仰しています。
人口の半分以上は稲作と牧畜などの農業を営んでいて、
コーヒーやバニラは重要な輸出品です。
「あなたの大切なものは何ですか?」
「マダガスカルの自然と動物!」

多くの人がマダガスカルと聞くとイメージするように、
マダガスカルでは他の国では見られないような
動物や植物が沢山存在します。
しかし
自然豊かで、動物がのびのびと暮らしてるように思えますが、
動植物が深刻な問題にぶつかっています。
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このような美しい緑が時期見られなくなるというのです。
年々、森林が焼き払われているため、
30年以内に森林が完全に消滅するという悪路を辿っています。
なんと植物の絶滅危惧種の最も多い国の一つに、
マダガスカルは位置づけられています。
既に90パーセントもの森林が消滅したと考えられています。
資生堂グループである『デクレオール』は、
エッセンシャルオイルを中心とした自然派スキンケアブランドで、
マダガスカルの小規模生産者から生産したエッセンシャルオイルを、
25パーセント以上使用しています。
さらに、この『デクレオール』は、
2008年にはNGOアスマダ
(2003年よりマダガスカルを支援するNGOとして設立。
環境保全、経済成長の両立を目的)
と協同し、
環境保全、インフラ整備を支援しました。(現在も継続中)
また、マダガスカルの顔であるキツネザルも危険な状態にあります。

*GATAG Free Photo 1.0 の無料素材から掲載
政情が不安定なため、
密猟などの違法行為が横行しキツネザルが乱獲され、
高級食材としてレストランなどに出されています。
日本アイアイファンドでは、
マダガスカルの人々と共に自然と希少動物の保護や研究調査を行っていて、
2010年11月には村民と協力し『ラミー』1,000本、
『アカシア』2,000本の植林を行ったそうです。
保護区でアイアイが生まれるなど繁殖に成功を収めたようです。
活動の更なる展開を期待したいです。
・・・
2006年、当時の大統領ラヴァルマナナによる国の計画により、
政治と経済が安定し始めました。
中でも、繊維業・観光業・工業が経済の支えとなっています。

マダガスカルは、順調な経済成長を続けてきました。
2008年に、
当時の大統領と、当時市長だったラジョリナが、対立しました。
当時の大統領は、
反政府デモが起き、さらに軍部がラジョリナ市長を支持したため、
負けてしまい、国を統治する権利を、すべて、ラジョリナ市長に渡しました。
ラジョリナ市長は、以上のような経緯で、暫定の大統領になりました。
「あなたの大切なものは何ですか?」

「みんなが仲良しでいること!」

そういった結果に落ち着いたものの、
(ラジョリナ市長が暫定大統領として治める形の)マダガスカルは、
国際社会(欧米の国々や、日本)から、
憲法手続き上での政権交代がなされていない、と非難され、、
未だに、国家としての承認を得られていないため、孤立しています。
この結果、
日本は、マダガスカルへの援助を、すべて、停止しました。
現在、なんの支援も、なされていません。
・・・
一連の政治危機により、経済は大幅な打撃を受けています。
マダガスカルは年間の国家予算のおよそ半分は、
財政支援を含む外国ドナー(日本、アメリカ、フランスなど)に依存していて、
もはや自国で国を支えるのは難しいと言えます。
「あなたの大切なものは何ですか?」

「日本から貰ったお家(孤児院)!」

そのような状況ではあるものの、
主要ドナー国・機関が新規の援助を止めにしてしまいました。
例えば、
2009年12月にはアメリカが援助をやめてしまいました。
(理由は、アメリカでは、就職時の面接をするときに、
性別、年齢、民族などを(差別をなくすため)
きいてはいけないことになっているのですが、
マダガスカルでは、それを続けており、やめないからなのですが…)
政治危機の影響だけでなく、
人々が農地を開拓していく中で稀少動植物の住処である森林が消滅し、
観光業で経済に潤いをもたらしていたことからこちらからも打撃を受けています。
・・・
では、マダガスカルが(経済的に先進国から)独立するためには、
どういったことが大事なのでしょうか?
マダガスカルは小学校へ通うことが義務教育化されています。
「あなたの大切なものは何ですか?」
「学校!!」

小学校就学率は90パーセントと非常に高いです。
ですが、退学率も皮肉ながら非常に高いのが現状です。

このような問題に対し、
ユニセフでは欧米諸国の政府支援とタッグを組み、
コミュニティの力を活用した早期教育プログラムや
初等教育の更なる普及と質の改善を行っています。
最低限の教育(初等教育)を受けることで、
身を守ることの能力をつけることも
貧困の連鎖から抜け出す力も身につけられます。
自分の身を守ることが出来たら、家族だって守れるでしょう。
子どもだけでなく、親もまた教育の重要性を知ることが必要です。

・・・
マダガスカルでは5歳未満の死亡率、乳児死亡率が高いことから、
国の各種保健指標がよくありません。

政府は国家開発活動計画の中で、
保健医療を優先分野の1つとして掲げています。
特に乳幼児の死亡率の半減に努めています。
感染症により死亡するケースが多く見られています。
(2011年現在、肺ペストなどの、
ネズミやネズミノミが媒介する細菌感染症が、増えています。)
「あなたの大切なものは何ですか?」

「病院や学校や家がある村です」

感染症を防ぐには予防接種の普及と拡大が重要なKEYとなります。

予防接種の普及には、
ワクチンを保存する冷蔵庫・保冷保存施設がまず不可欠となってきます。
しかし、
機材不測と老朽化によりワクチンの保存及び保管が困難な場合が多いのです。
政府は懸命に保存機材の調達に努めているものの、
財政困難にあるため日本に対し協力を求めてきました。
そこで日本政府は、
マダガスカル各地の病院、診療所などに、
予防接種ワクチンの保冷機材を調達する計画のために
必要な資金を援助しました。
・・・
さいごに
マダガスカルの色彩豊かな自然と珍しい動物たち、
そして私たち日本人のように気遣いを欠かせないマダガスカルの人々。
彼らが諸外国に認められる日が訪れるには、
目の前に立ちはだかる山をひと越え、ふた越えしなくてはなりません。
マダガスカルは、現在の大統領が、大統領として認められていないため、
日本や欧米の主な国の政府からの援助は、止まってしまっています。
ところが、マダガスカルの国の国家予算は、その半分以上が、
外国からの援助に依存していたのです。
つまり、現在、マダガスカルの国家予算は、完全に破綻していると考えられます。
様々な国が、マダガスカルの現在の政府に、歩み寄ることを止めてしまった今、
私たちが出来ることを考え、少しずつ始めてみませんか?
マダガスカルを支援している社会企業の商品を買ったり、
政府ではない民間のNGOに参加することも、その方法かもしれません。
ちりも積もればじゃありませんが、
一人ひとりの小さな小さな気遣いが、いずれは、
誰か・何かの助けになるのだと思います。

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絵と写真を集めた人:
竹前宏美(2007年、青年海外協力隊)
画像データを編集し、文章を書いた人:
寺町華子
編集完了日:
2011年9月7日
監修・校正:
山本敏晴
企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/