2011年08月31日

マダガスカル Madagascar



マダガスカルはちょうどアジアとアフリカが交錯する地に存在する、
日本と同じ島国です。
世界で4番目に大きく、「大きな島」という愛称でも知られています。

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公用語はマダガスカル語とフランス語です。

なぜ公用語にフランス語が含まれているのか。
それは、
フランスにより植民地化されていた時代背景があるからだと言えるでしょう。

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(マダガスカルジャスミン)


宗教は主にキリスト教、イスラム教そして独自の伝統宗教を信仰しています。

人口の半分以上は稲作と牧畜などの農業を営んでいて、
コーヒーやバニラは重要な輸出品です。


「あなたの大切なものは何ですか?」

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「マダガスカルの自然と動物!」

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多くの人がマダガスカルと聞くとイメージするように、
マダガスカルでは他の国では見られないような
動物や植物が沢山存在します。


しかし
自然豊かで、動物がのびのびと暮らしてるように思えますが、
動植物が深刻な問題にぶつかっています。

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このような美しい緑が時期見られなくなるというのです。

年々、森林が焼き払われているため、
30年以内に森林が完全に消滅するという悪路を辿っています。

なんと植物の絶滅危惧種の最も多い国の一つに、
マダガスカルは位置づけられています。
既に90パーセントもの森林が消滅したと考えられています。



資生堂グループである『デクレオール』は、
エッセンシャルオイルを中心とした自然派スキンケアブランドで、
マダガスカルの小規模生産者から生産したエッセンシャルオイルを、
25パーセント以上使用しています。

さらに、この『デクレオール』は、
2008年にはNGOアスマダ
(2003年よりマダガスカルを支援するNGOとして設立。
 環境保全、経済成長の両立を目的)
と協同し、
環境保全、インフラ整備を支援しました。(現在も継続中)


また、マダガスカルの顔であるキツネザルも危険な状態にあります。

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*GATAG Free Photo 1.0 の無料素材から掲載

政情が不安定なため、
密猟などの違法行為が横行しキツネザルが乱獲され、
高級食材としてレストランなどに出されています。


日本アイアイファンドでは、
マダガスカルの人々と共に自然と希少動物の保護や研究調査を行っていて、
2010年11月には村民と協力し『ラミー』1,000本、
『アカシア』2,000本の植林を行ったそうです。
保護区でアイアイが生まれるなど繁殖に成功を収めたようです。
活動の更なる展開を期待したいです。

・・・


2006年、当時の大統領ラヴァルマナナによる国の計画により、
政治と経済が安定し始めました。
中でも、繊維業・観光業・工業が経済の支えとなっています。

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マダガスカルは、順調な経済成長を続けてきました。
2008年に、
当時の大統領と、当時市長だったラジョリナが、対立しました。

当時の大統領は、
反政府デモが起き、さらに軍部がラジョリナ市長を支持したため、
負けてしまい、国を統治する権利を、すべて、ラジョリナ市長に渡しました。

ラジョリナ市長は、以上のような経緯で、暫定の大統領になりました。



「あなたの大切なものは何ですか?」

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「みんなが仲良しでいること!」

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そういった結果に落ち着いたものの、
(ラジョリナ市長が暫定大統領として治める形の)マダガスカルは、
国際社会(欧米の国々や、日本)から、
憲法手続き上での政権交代がなされていない、と非難され、、
未だに、国家としての承認を得られていないため、孤立しています。

この結果、
日本は、マダガスカルへの援助を、すべて、停止しました。
現在、なんの支援も、なされていません。


・・・


一連の政治危機により、経済は大幅な打撃を受けています。



マダガスカルは年間の国家予算のおよそ半分は、
財政支援を含む外国ドナー(日本、アメリカ、フランスなど)に依存していて、
もはや自国で国を支えるのは難しいと言えます。




「あなたの大切なものは何ですか?」

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「日本から貰ったお家(孤児院)!」

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そのような状況ではあるものの、
主要ドナー国・機関が新規の援助を止めにしてしまいました。
例えば、
2009年12月にはアメリカが援助をやめてしまいました。

(理由は、アメリカでは、就職時の面接をするときに、
 性別、年齢、民族などを(差別をなくすため)
 きいてはいけないことになっているのですが、
 マダガスカルでは、それを続けており、やめないからなのですが…)


政治危機の影響だけでなく、
人々が農地を開拓していく中で稀少動植物の住処である森林が消滅し、
観光業で経済に潤いをもたらしていたことからこちらからも打撃を受けています。


・・・

では、マダガスカルが(経済的に先進国から)独立するためには、
どういったことが大事なのでしょうか?



マダガスカルは小学校へ通うことが義務教育化されています。





「あなたの大切なものは何ですか?」


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「学校!!」
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小学校就学率は90パーセントと非常に高いです。
ですが、退学率も皮肉ながら非常に高いのが現状です。

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このような問題に対し、
ユニセフでは欧米諸国の政府支援とタッグを組み、
コミュニティの力を活用した早期教育プログラムや
初等教育の更なる普及と質の改善を行っています。



最低限の教育(初等教育)を受けることで、
身を守ることの能力をつけることも
貧困の連鎖から抜け出す力も身につけられます。
自分の身を守ることが出来たら、家族だって守れるでしょう。
子どもだけでなく、親もまた教育の重要性を知ることが必要です。

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・・・


マダガスカルでは5歳未満の死亡率、乳児死亡率が高いことから、
国の各種保健指標がよくありません。

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政府は国家開発活動計画の中で、
保健医療を優先分野の1つとして掲げています。

特に乳幼児の死亡率の半減に努めています。
感染症により死亡するケースが多く見られています。

(2011年現在、肺ペストなどの、
 ネズミやネズミノミが媒介する細菌感染症が、増えています。)



「あなたの大切なものは何ですか?」

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「病院や学校や家がある村です」

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感染症を防ぐには予防接種の普及と拡大が重要なKEYとなります。


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予防接種の普及には、
ワクチンを保存する冷蔵庫・保冷保存施設がまず不可欠となってきます。

しかし、
機材不測と老朽化によりワクチンの保存及び保管が困難な場合が多いのです。
政府は懸命に保存機材の調達に努めているものの、
財政困難にあるため日本に対し協力を求めてきました。
そこで日本政府は、
マダガスカル各地の病院、診療所などに、
予防接種ワクチンの保冷機材を調達する計画のために
必要な資金を援助しました。


・・・

さいごに



マダガスカルの色彩豊かな自然と珍しい動物たち、
そして私たち日本人のように気遣いを欠かせないマダガスカルの人々。


彼らが諸外国に認められる日が訪れるには、
目の前に立ちはだかる山をひと越え、ふた越えしなくてはなりません。

マダガスカルは、現在の大統領が、大統領として認められていないため、
日本や欧米の主な国の政府からの援助は、止まってしまっています。

ところが、マダガスカルの国の国家予算は、その半分以上が、
外国からの援助に依存していたのです。

つまり、現在、マダガスカルの国家予算は、完全に破綻していると考えられます。


様々な国が、マダガスカルの現在の政府に、歩み寄ることを止めてしまった今、
私たちが出来ることを考え、少しずつ始めてみませんか?

マダガスカルを支援している社会企業の商品を買ったり、
政府ではない民間のNGOに参加することも、その方法かもしれません。


ちりも積もればじゃありませんが、
一人ひとりの小さな小さな気遣いが、いずれは、
誰か・何かの助けになるのだと思います。


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・・・
・・・


絵と写真を集めた人:
竹前宏美(2007年、青年海外協力隊)

画像データを編集し、文章を書いた人:
寺町華子

編集完了日:
2011年9月7日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

posted by お絵描きイベント at 17:22| 日記

2011年08月30日

モザンビーク Mozambique


モザンビーク共和国は、
アフリカ大陸の南東部にあります。


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2010FIFAワールドカップが開催された
南アフリカ共和国など6ヵ国と国境を接し、
東側にはマダガスカル島が浮かびます。

緑豊かな大地と資源に恵まれており、
とうもろこし、綿花などの農業、
アルミ産業、石炭や天然ガスなどの鉱業が盛んな国です。

また、モザンビーク海峡で獲れるエビは、
大変美味しく日本にも多く輸出されています。

人口は約2.289万人で、日本の6分の1です。
国の面積は日本の約2倍。
40以上のたくさんの民族がいます。

キリスト教をはじめ、
イスラム教、原始宗教が信じられています。



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上の絵は、この国の子どもが描いた、
モザンビークの地図です。
確かにこの国は、このような、ペガサス(天馬)のような形をしています。
右側(東側)は海に接しており、
左側(西側)は、内陸部です。


モザンビークの起源は、
1世紀に定住した民族バンツー族が
連合王国のモノモタパ王国を築いたことに
さかのぼります。

15世紀ヴァスコ・ダ・ガマの訪問がきっかけとなり、
16世紀からポルトガルの植民地となりました。
現在の公用語もポルトガル語です。

20世紀に入ると、
反ポルトガルの蜂起が次々と起こり、
1975年に独立をしました。

国単位の戦争が終わると、
それまでは抑えられていた、
国の中の派閥が数多くの争いをしました。

次々と国内紛争が起こり、
多くの命が失われました。

そして、
今から19年前の1992年、
長い内戦が終わりました。



・・・

「あなたの大切なものは何ですか?」

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「もう、心が痛む思いはしたくありません」

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ポルトガルの植民地だった、モザンビークですが、
1975年、独立戦争を経て、
モザンビーク人民共和国が生まれました。

しかし、独立後に起きた17年にも及ぶ内戦により、
多くのものを失いました。

内戦後に日本の内閣府は、
停戦と武装解除、選挙の監視、人道支援をするため、
国連モザンビーク活動を行いました。

日本にとって3番目の国連平和維持活動(PKO)です。

内戦が終結したからといって、
その国にすぐに平和がおとずれるわけではありません。

国連平和維持活動(PKO)はその活動を通して、
モザンビークの復興への道を一緒に歩みました。

「酒も、煙草もやめよう。争いも終わってほしい。
向かい合って、手をとって前へ進みたいんだ。」

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国連PKO活動には、たくさんの国々が協力しています。
同じ、途上国である、アフリカやアジアの国々からも協力に来ています。
先進国からの援助だけではなく、
途上国同士で、平和構築のための活動を続けています。

このように、
途上国同士が、援助をしあうことは、近年増えてきています。
その方が、人件費が安くすみ、プロジェクトを効率的に運営できたり、
宗教や文化などが近く、受け入れやすいことなどが、その要因になっています。

モザンビークは紛争終結後の平和構築において、
非常に価値のある成功を収めた国といわれています。

今後も困難を乗り越えながら、
ますます発展の道を歩むでしょう。



・・・

「あなたの大切なものは何ですか?」

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「豊かな生活です」

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2009年に行われた、世界の貧困率調査では、
モザンビークは世界で5番目に悪い状況の国
といわれています。

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たくさんの国からのお金を集めて運営されている国際機関の一つに、
世界銀行グループがあります。

この中の、国際開発協会では、
鉄道建設などのインフラ整備(社会基盤となる道路などの建設)の
手伝いをしています。

紛争が終結した、開発途上国においては、
モノを運ぶということが重要になります。

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この鉄道建設や、その他の設備づくりにより、
1997年から5年間、
モザンビークの経済成長率は
世界最高レベルにまで達しました。

貧困率も改善されてきていますが、
未だ国民の半数は
日々の生活が大変な困難を伴う『絶対貧困』にあります。

(絶対的な貧困とは、各団体によって定義が異なりますが、
 1日1ドル以下で暮らしている、というものや、
 1日2ドル以下で暮らしているもの、などがあります。
 上記のケースでは国際協力機構(JICA)の定義である、
 1日1.25ドル以下、というものを指しています。)


経済の成長は必ずしも
直接的に貧困を減らしていくものではありません。

経済の成長によって、
利益を得るのは誰なのか。
貧困を解決するには、
できる限り、最貧困に面した人々の生活が向上するよう
配慮した経済成長の仕方をする必要があります。

国際開発協会は、
最も貧しいといわれている国の政府に対して、
利子をなくし、返済期間をできるだけ長くしてあげる形で
お金を貸してあげています。



・・・

「あなたの大切なものは何ですか?」

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「学ばせてくれる場所、学校です」

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モザンビークは、小学校などで教育を受けた人が、
ほとんどいない国です。

国連が、25歳以上の成人に対して調査した所、
なんと、国全体の平均で、1年しか、学校にいっていませんでした。

(ちなみに日本は、12年ぐらいです。)

この結果、成人識字率は44.4%と、
2人に1人は字が読めません。

モザンビークの義務教育は7年間ということになっていますが、
(実際は、学校に行っている人は、あまりおらず)
依然として、低い識字率です。

文字が読めないことは、
生活する上で大切な情報が読み解けず、
困難をともなうことがあります。

例えば、
服用する薬の説明書きが理解できず、
生命に影響を及ぼすことがあります。


国際協力機構は、
教員の質を改善するプロジェクトを実施しました。

近年、さまざまな努力により、
就学率が上がっています。

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それにともない、教員の不足が問題になっています。

国全体の平均では、
教員一人当たりの生徒数は67人になります。
そのため、資格を持たない教員の採用が増えています。

このような状況の中、
資格の有無を問わず、
教員全体の質を上げることが必要となりました。

国際協力機構は、
1年に1〜2回、講義だけだった研修を、
1ヵ月に1回、実習を入れることにしました。

現地の教員が、
国際協力機構から教わったことを、
その通りに再現した授業をするための
プログラムが行われています。

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この活動は2012年まで行われる予定で、
どのような成果となるか、期待されています。

教員のレベルが上がり、生徒への目が行き届く。
これが識字率のさらなる向上につながるでしょう。



・・・

「あなたの大切なものは何ですか?」

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「心から信じることのできる愛情です」

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2010年国連合同エイズ計画(UNAIDS)の発表によりますと、
モザンビークの成人HIV感染率は、
世界で8番目に高いという結果が出ました。

10人に1人がHIV/エイズに感染しています。

国の保健省の中に、伝統医療研究所があります。

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モザンビークでのHIV/エイズ予防対策の一つとして、
この研究所では、伝統医療を行う施術者に向けた、
新しいトレーニング・マニュアルをつくっています。

モザンビークをはじめ、アフリカ大陸の国々には、
今も伝統医療が人々の身近にあります。

しかし、誤った施術により、
HIV/エイズに感染してしまうことがあるのです。

その具体例としては、
伝統医療の一つとして、
(出血している)傷があった時に、
そこに、伝統医療の施術者が、自分の口をつけて、
吸い取って、治そうとした場合、
その行為によって、HIV/エイズに感染する、
などです。

上記のようなことが起きるため、
エイズに対する支援活動をする人々は、
伝統医療従事者がHIV/エイズに感染しないような
教育をしてあげることが必要だとされています。

と、いうように
伝統医療には、さまざまな問題点があるために、
西洋医学的には、やめさせた方が良い場合が多いのですが、
そうはいっても、
何百年も続いている現地の文化を
(ある日、突然やってきた外国人グループが)
根本から否定することはできないため、
そのバランスをとることが難しいと言われています。



・・・

「あなたの大切なものは何ですか?」

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「環境です。失われないでほしいです」

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近年、モザンビークにおいて
産業基盤の建設が活発にすすめられています。

生活の土台が整備されると、
人々の暮らしは豊かになります。
一方で、
力のある政府や企業が自分たちの利益に注視すると、
環境破壊という負の部分が多くなってしまいます。

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中国は、道路やダムなど産業の基盤となる設備づくりを
自国の(建設会社などの)企業に請け負わせ、利益を得ています。

また、開発の見返りに、
石油やレアメタルなど、資源を受けることも狙いのようです。

政府に多額の資金を渡し
環境が破壊されても、なお開発を推し進める姿勢に対し、
ヨーロッパ、アメリカから反対の声が出ています。

これはもはや、
国際協力ではなく、『中国型新植民地主義』である
という懸念も出ています。


開発によって生じる問題にも配慮し、
いかに良い面の多い国際協力をするかが、
課題となっているようです。


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これに対して、環境や人権を保護する団体からは、
避難の声が上がっています。

モザンビークNGO団体のダニエル・リベイロは、
「中国の政府や企業は、
現地の住民と十分な話し合いの機会を設けるべきだ。

途上国開発をするのなら、自国の利益だけでなく、
現地で生きる住民の生活がより良いものになるよう、
配慮してほしい」

と意見しています。



・・・

「あなたの大切なものは何ですか?」

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「明日も生きたいと、希望をもつことです」

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・・・
・・・


絵と写真を集めた人:
高木亜麻子(2010年, CICD, ADPP)

画像データを編集し、文章を書いた人:
渡部香織

編集完了日:
2011年9月6日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

人物が写っていない画像は、
以下のフリー素材会社から提供を受けたものもあります。
(株)データクラフト「素材辞典」
http://www.sozaijiten.com/

posted by お絵描きイベント at 08:29| 日記

2011年08月28日

ブラジル Brazil

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ブラジルは、南米にある、面積・人口・経済規模が最も大きな国です。

面積は世界第5位で、南米大陸の約半分を占め、アメリカよりは小さいものの、ロシアを除くヨーロッパ全土よりも広く、この広大な国土の中に、世界最大のアマゾン熱帯雨林などの雄大な自然を擁します。

航空機、自動車、エネルギー、鉄鋼、電気・電子等の産業を抱える工業国であるとともに、鉱物や石油などの天然資源も豊富に有します。
また、世界最大の農産物純輸出国で、今後、人口爆発にともなって食糧難の時代になると、世界の食糧供給の中心的な役割を果たすと考えられています。


「あなたの大切なものはなにですか?」

「カトリックの教えが世界中にひろがることです」

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ブラジルでは、もともとアジアからやってきた先住民(グアラニー人)たちが、原始的な農業をして暮らしていました。
しかし、1500年にポルトガル人に発見されると、それから約300年にわたってポルトガルの植民地としての歴史を歩みました。
この影響から、ブラジルではポルトガル語が公用語として使われており、ポルトガル語を話す人の人口が最も大きい国です。
また、国民の3/4がカトリックの信者で、カトリックの信者が世界で最も多い国でもあります。

国民の約半分がヨーロッパ系、その他をヨーロッパ系と先住民系との混血系や、アフリカ系が占めます。
19世紀半ばからはポルトガル以外の多くの国からも移民を受け入れ、移民国家特有の人種的文化的多様性を有します。

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日本からも多くが移民としてわたり、世界最大の日系人社会が存在します。
また、ブラジルから日本に移住する人も韓国・中国に次いで3番目に多く、古くから日本と強い結びつきがあります。

「あたしの大切なものは家族だよ」

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・・・
 
「僕はお勉強が大事」

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ブラジルは、建国以来、先進国からの累積債務によってハイパー・インフレが生じ、一時は財政破綻寸前に陥りました。
しかし、新通貨の導入など大胆な経済政策によって危機を回避。
その後は、広大な国土・豊富な人材・豊富な天然資源を背景に新興国と呼ばれるほど飛躍的な経済成長を達成しています。

新興国と呼ばれる国は、ブラジルの他に、ロシア、インド、中国があり、これら4つの国の頭文字をとって『BRICs』と総称されています。

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しかし、このような目覚しい経済成長をする一方で、その成果が適正に分配されておらず、世界的にも大きな所得格差を生み出しています。

そこで、ブラジルは、国民の最低所得を保障する『ベーシックインカム法』を法制化しました。
現在の受給者数は人口の3分の1にも及びます。
また、貧困層の子どもには子ども手当てを支給するなどして、貧困層の底上げにも力を入れています。
こうした政策がブラジルの経済成長を支えているとも言われています。

・・・
 
「僕の大切なものは食べ物だよ」

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かつて日本は、輸入大豆の8割以上をアメリカから輸入していました。
しかしながら、アメリカは1973年に大豆が不作となると輸出を規制し、日本で豆腐などの値段が高騰して社会問題になりました。
そこで、日本は1980年代初頭からブラジル政府と共同で、ブラジル中西部の半乾燥地域セラードの農業開発を進めました。
セラードとは、首都ブラジリア一帯からアマゾン川までの広大な草原で、もともと土壌がアルミニウムを含む強酸性のため、農作物が育ちにくい不毛の土地でした。
日本政府は多数の専門家を送りだし、石灰で中和してセラードの土壌を改善し、品種改良にも成功しました。
この結果、不毛の大地は豊かな穀倉地帯へと生まれ変わり、大豆生産量は約40倍に増え、ブラジルはアメリカに次ぐ世界第2位の大豆生産国となりました。

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セラードの生産能力にまだ伸び白があり、最終的には、10億人分の食糧を賄えるようになるのではないかという予測もあります。

ただ、この農業開発の裏側で、セラードに生息する固有種が絶滅することを危惧する声も高まっています。
そこで、日本は、分断された生態系を巨大な緑の回廊でつないで動物が移動しやすくするプロジェクトを実施しました。

どのようにして農業開発と生態系の保全とを両立させるかが今後の課題となるでしょう。

・・・
 
「わたしは世界の平和を望みます」

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近年、ブラジルはその経済成長を背景に、ブラジルは国際社会における地位の向上・発言力の強化を目指して積極的に活動しており、その活動は徐々に実を結びつつあります。

先進国首脳会議は、アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、日本、フランス、ロシアというG8から、アルゼンチン、インド、インドネシア、欧州連合、オーストラリア、韓国、サウジアラビア、中国、トルコ、南アフリカ共和国、ブラジル 、メキシコを含む『G20』へと移行しようとしています。

また、ブラジルは、日本、ドイツ、インドとともに『G4』(国連安保理常任理事国進出を狙う4カ国グループ)を形成し、将来の国連安保理の常任理事国入りを目指しています。

常任理事国入りへの道には障害もありますが、国際政治におけるブラジルの存在感はこれからも増していくでしょう。

・・・
 
「ぼくの大切なものは家です」

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ブラジルのほぼ全ての大都市の郊外には、『ファヴェーラ』と呼ばれる不法居住者の建てた小屋の並ぶスラム街が存在します。
建物は非常に込み合っており、下水などの施設も不十分。
電気は盗電され、都市周囲の山の斜面にあるため、大雨の際には地すべりで犠牲者がでます。
また、麻薬の売買などの違法行為がはびこり、殺人などの犯罪もしばしば生じます。
このような劣悪な環境にもかかわらず、農村部から都市部への人口流入に歯止めがかからないため、ファヴェーラの住民は増え続けています。

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このような状況下、ドイツ人のウテ=クレーマー氏は、『モンチ・アズール』という団体を設立し、ファヴェーラの住民との協力しながら、健康・居住環境・教育などの分野についてシュタイナー教育に基づいて改善運動をしています。
シュタイナー教育とは、子どもが主体的に行動できるようになることを目的とし、そのために特に芸術活動を奨励する教育法です。
元々富裕層の子女にしか門戸の開かれていなかったシュタイナー学校が、ファヴェーラに住む子供たちにも開かれました。

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また、ファヴェーラで暮らしている子どもたちは、病気になって医師による治療を受けても、しばらくするとまた病気になってしまうことがしばしば起こります。
これは、子どもが不衛生な環境にもどってしまうことに原因がありました。
そこで、小児科医ヴェラ・コルデイロ氏は、『ヘナセ(再生)』という団体を創設し、子どもの母親に衛生に関する教育をすることによって、子どもが病気を再発してしまうことを防ぐ活動をしています。
この活動によって再入院率が60%も下がるという目覚しい効果がえられ、この活動を全国的に展開しようと尽力しています。

・・・
 
「わたしの大切なものは家族と友達です」

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ブラジルは、インドについで、2番目にハンセン病が蔓延している国です。
ハンセン病は皮膚がただれて一目で区別できるため、歴史上もっとも忌み嫌われてきた病気です。
現在では、ハンセン病は感染力が非常に小さいことがわかっており、また完治する病気です。
ブラジル政府は、ハンセン病患者を社会や家族から強制的に隔離して療養所に入所させる政策を1920年から1986年まで実施しており、ブラジル政府はこの政策の犠牲になったハンセン病患者への賠償として終身年金を支給することを決定しました。

・・・
 
「僕は森林が大切だと思います。」

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ブラジルには世界最大の熱帯雨林であるアマゾン熱帯雨林があります。
アマゾン熱帯雨林は、その二酸化炭素の吸引量の高さから『地球の肺』とも呼ばれています。
しかし、いま、このアマゾン熱帯雨林が急速に失われようとしています。
森林の不法伐採や焼き畑が横行しているからです。

この広大なアマゾン熱帯雨林が消失してしまうと、単にアマゾンの生物多様性が失われてしまうのにとどまらず、地球温暖化、砂漠化、気候変動など地球的規模の環境問題をもたらすと考えられているため、アマゾン熱帯雨林の状況には世界中の人たちが危機意識を抱いています。

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ブラジル政府は、このアマゾン熱帯雨林を保全するために、衛星画像により不法伐採を監視するシステムを導入しました。
しかしながら、このシステムでは地上が厚い雲に覆われると監視することができませんでした。
これを受けて、日本政府は『陸域観測技術衛星ALOS』を用いて雲の状況にかかわらず地上を監視できるシステムを構築するための技術協力を行っています。
このシステムが完成すれば、アマゾン熱帯雨林の不法伐採に歯止めがかかることが期待されています。

 
「わたしの大切なものは家族と自然です」

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アマゾン熱帯雨林の不法伐採を取り締まることは必要ですが、それだけでは不十分と考えられています。
なぜなら、アマゾン熱帯雨林の不法伐採の背後には、小規模農家などが生活を維持するためにやむなく行っているという貧困問題が横たわっているからです。

そこで、森林の保全と貧困問題とを解決するための方法として、農業と林業を組み合わせた『アグロフォレストリー(森林農法)』が注目されています。
アグロフォレストリーでは、樹木作物を中心に植栽し、樹間で動植物を育成する農法です。

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このアグロフォレストリーをアマゾン熱帯雨林ではじめて実施したのはアマゾン河口のトメアスという街にいる日系人たちでした。
トメアスの日系の移民たちは、1950年代まではコショウを単一で栽培していましたが、1960年代にコショウの病気が蔓延して大打撃を受けました。
その教訓を生かし、1980年代からはコショウが栽培されていた場所に果樹やカカオなどの植え付けを開始しました。
これがアマゾンにおけるアグロフォレストリーの始まりでした。
このアグロフォレストリーの試みが評価され、トメアス総合農業共同組合の代表として、小長野道則氏はルラ大統領より2010年度地域発展貢献賞の最優秀賞を受賞しました。

 
「あたしは大好きな自然豊かな風景を守りたいです」

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1992年に、ブラジルのリオデジャネイロで、『環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)』が行われました。
この会議で、持続可能な開発を旨とする『アジェンダ21』が採択されるとともに、各国は『気候変動枠組条約』と『生物多様性条約』に署名しました。
地球サミットの最終日、当時12歳だった日系カナダ人の少女セヴァン=スズキが各国の首脳を前にしてした語った言葉は語りぐさとなっています。
「どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください」

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2002年には、南アフリカのヨハネスブルグで地球サミット(リオ+10)が開催され、アジェンダ21の進捗状況が確認されました。

そして、2012年には、再びリオデジャネイロで地球サミット(リオ+20)が開催されます。
このリオ+20では、貧困削減と持続可能な発展の両立を目指すグリーンエコノミーや、持続可能な発展のための制度枠組み等が主な議論となります。

環境破壊をしたい人なんて誰もいないはずですが、経済活動を営む結果として環境破壊をしてしまっているのが現実だと思います。
こうしたジレンマを打開するため、リオ+20で扱う議題はきわめて重要な意味をもちます。

地球環境問題は、私たちだけではなく、私たちの次の世代を生きる人たちに影響を及ぼす重大な問題です。
この美しい地球を次の世代に渡すため、人類の英知を結集してリオ+20が成功することを心から祈りたいと思います。


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・・・
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絵と写真を集めた人:
ピースボートの人々、山本敏晴

画像データを編集し、文章を書いた人:
矢野弘明

編集完了日:
2011年9月3日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

人物が写っていない画像は、
以下のフリー素材会社から提供を受けたものもあります。
(株)データクラフト「素材辞典」
http://www.sozaijiten.com/

posted by お絵描きイベント at 18:05| 日記

2011年08月15日

ボリビア Bolivia


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ボリビア・・・といえば!
と、この国に対して何か思い付くことはどのくらいあるでしょうか?

南米5番目の面積を持ちながら、周りをブラジル、ペルー、チリ、アルゼンチンなどの
国に囲まれる内陸国です。
国土の3分の1を6000m級のアンデス山脈が占めますが、
一方で国の東側には手付かずのジャングルも多く残っています。
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多民族・複合文化の国であり、大まかに先住民(インディヘナ)55%、
混血(メスティソ)32%、欧州系13%とされ、
南米の中でも先住民の割合が多い国です。
さらに先住民の中には多くの少数民族が含まれています。

国の正式名称はまさにその体を現し「ボリビア多民族国家」といいます。
因みに「ボリビア」は国名は独立運動を指導したシモン・ボリーバルに由来し、
また、首都スクレ(※)は初代大統領アントニオ・ホセ・デ・スクレに由来しています。
その他、ボリビアに因んだ人名由来の地名が多く存在しています。
※スクレは憲法上の首都ですが、実際の首都機能はラパスにあります。


【あなたの大切なものはなんですか?】
  美しい田舎の風景です

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ボリビアはアンデス山脈、ティティカカ湖、渓谷地帯、アマゾンなど
自然豊かな国です。

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ボリビアでは、森林破壊・ゴミ問題・水質汚染などの環境問題があり、
悪化の一途を辿っています。

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これらの問題は環境のみならず人々の健康にも大きな影響を与えています。
飲料水供給率は、全国71.7%
(都市部86.5%、地方部51.4%。2004年、ボリビア社会経済政策分析局)
となっており、安全な水を手に入れられない人々が多くいます。

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日本の途上国への支援である政府開発援助では
1990年から2015年の間に安全な飲料水を継続的に利用できない人々の割合を
半減するための事業など環境問題に対する事業展開をしています。


【あなたの大切なものはなんですか?】
   学校です

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2001年時点の調査では、全国で約14%、
農村部では約26%の人が非識字者でした。
しかし、2006年からの約3年間にわたる識字教育の展開によって、
2008年12月20日、南米では2番目に『非識字からの解放』を宣言しています。

合言葉「アンデスから始めよう」のもと、原住民たちの多くがこの教育を
受けることになりました。

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このプログラムは識字教育を行う国際機関となっているUNESCO
(国際連合教育科学文化機関)の他、
先に非識字を達成した同じ南米のベネズエラから多くの支援を受けて
実現されました。


【あなたの大切なものはなんですか?】
   家族が一緒にいること

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ボリビアの人口は約1000万人ですが、その中で海外へ出稼ぎに行く人口は
100万人を超えています。
人口の約1割以上が出稼ぎをしているのです。
主な行き先は隣国のアルゼンチン、ペルー、チリ、
そして旧宗主国であるスペインです。

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家族が仮に4人だったとして、実に2つに1つの家族の両親のどちらかが
海外へ出稼ぎに行っている計算となります。
また、海外への出稼ぎの他、国内の農村部から都市部への出稼ぎも
多く行われていることを踏まえると、
家族みんながそろって暮らすことさえ当たり前ではないのです。


【あなたの大切なものはなんですか?】
   畑です

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ボリビアは鉱業・農業の国です。
アンデスではジャガイモ・とうもろこしを古くから生産し、
近年は換金性の高い大豆、サトウキビ、綿花、コーヒー、バナナが
盛んに生産されています。

ただし、大規模な農場を保持している人々はごく少数で、
多くは零細小農業に留まっています。

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ボリビアは南米の中で最も貧しく貧富の格差も大きい国です。
国民の60%が貧困層に属しており、農村部ではより多くの割合となっています。


【あなたの大切なものはなんですか?】
  ボリビアが一つになることです

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ボリビアの歴史

ボリビアはこれまでどのような道を辿ってきたのでしょうか。

アンデス山脈といえばインカ帝国のイメージがありますが、
その成立は以外に新しく13世紀です。

そのインカ帝国も1532年にスペイン人に征服され植民地となります。
現在のボリビア南部で発見されたポトシ銀山により、
1650年にはポトシは人口16万人を抱える新大陸最大の都市となりました。

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しかし都市の繁栄とは逆に、原住民は鉱山での過酷な労働やヨーロッパからの
疫病のためその人口は激減しました。

19世紀に入ると、南米の各植民地での独立運動に影響され
ボリビアでも過酷な鉱山労働に耐えかねた原住民や
「クリオーリョ」と呼ばれる現地生まれのスペイン人たちの間で反乱が起こります。
1825年、シモン・ボリバルの援軍を受けたスクレ将軍によって、独立を果たします。
これをボリビアでは「独立戦争」と呼んでいます。


【あなたの大切なものはなんですか?】
  失った海です。ぼくは海がほしい。

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ボリビアの領土は独立当事、現在の倍以上ありました。
そして、西部には現在はない海岸線の領地を有していました。
内陸国ではなかったのです。

今の国土は、20世紀初頭に起こった3つの戦争の結果です。
まずチリとの太平洋戦争(1879年〜83年)に敗れ、海を失いました。
その後、1903年にはアマゾンのアクレ地区をブラジルに割譲し、
1932年〜35年のチャコ戦争では南東部のチャコ地方の大部分を
パラグアイに割譲しました。

海は食料を含む多くの資源だけでなく、各国との交通においても
大きな役割を果たしえます。

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ボリビアでは政治的にだけでなく一般の人々の間で
「失った」海への憧れを抱く人々が多いのです。


さて、数々の戦争を経たボリビアは政治・経済が安定せず
国民の不満は募っていきます。

鉱山労働者、民族主義グループなどの支持を得た新しい政党が
1952年、伝統的な支配層を打破し政権を握ります。
彼らは社会主義的政策を大々的に行い成果を挙げました。
これらの社会の動きは「ボリビア革命」と呼ばれています。

革命を経験したものの、
一時は軍事政権による支配が20年以上も続くこともありました。
現在は文民による政治が行われています。

【あなたの大切なものはなんですか?】
   安心な社会です

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ボリビアの現在の情勢

2006年に南米で初めての先住民出身のエボ・モラレス大統領が誕生しました。

その基本路線は、先進国による政治的支配・経済的な搾取の打破や、
自由競争を促進し、政府の経済への介入を極小化する
いわゆる「新自由主義的経済」への対抗姿勢です。
虐げられてきた先住民の権利拡大などを指向した社会主義的な改革を
行おうとしています。

しかし、既得権を守ろうとする欧米系の移住者と激しく対立して、
社会不安を引き起こしています。
問題は山積みですが、ボリビアには他国にはない強みもあります。


ボリビアの資源

ボリビアはその貧しさからは想像できないほど豊かな天然資源が眠っている国として知られています。
「天空の鏡」と称されるウユニ塩湖はその美しさから日本でも有名となりましたが、
実はレアメタルである「リチウム」の宝庫でもあります。

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*GATAG Free Photo 1.0 の無料素材から掲載

リチウムは私たちの身近なものでは「電池」に使用されています。
その他水素爆弾など必ずしも平和的でないことにも利用されています。

現在先進各国が挙ってその権益獲得に乗り出しています。
日本もその中の一国です。

この開発がお金と引き換えに「天空の鏡」を
破壊するようなものでないことを住民も願っています。

開発においては長期的な視点で環境、そして観光資源としても
目を向けて計画を立てていかなければなりません。


【あなたの大切なものはなんですか?】
   ボリビアの国旗です

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ボリビアの国旗は1851年に制定されました。
赤、黄、緑の三色旗で、中心にある紋章のコンドルは希望を象徴しています。
赤は独立戦争で流れた血、黄は豊かな鉱物資源、緑は森林資源を表します。


【あなたの大切なものはなんですか?】
   お母さんが見に来てくれるサッカー

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ボリビアは南米だからサッカーが強いのか!
と思ったらそうでもないのです。
FIFAランク64位、ワールドカップに出場経験はあるものの、
今は昔の話となっています。
しかし、ボリビアでは群を抜いて人気のあるスポーツであることに変わりありません。
多くの子どもたちはサッカー選手になることを夢見ています。

貧困から抜け出せる、といった理由もありそうではありますが、
実際は純粋な将来の夢なのです。


【あなたの大切なものはなんですか?】
   私の夢です

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どんな子どもたちでも夢を無心に追いかけられる、
そんな社会になることをボリビアは目指しています。





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絵と写真を集めた人:
青年海外協力隊・阿部 かなえ(2008年)
青年海外協力隊・工藤 敦子(2009年)

画像データを編集し、文章を書いた人:
佐渡 愛子

編集完了日:
2011年9月6日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

人物が写っていない画像は、
以下のフリー素材会社から提供を受けたものもあります。
(株)データクラフト「素材辞典」
http://www.sozaijiten.com/

posted by お絵描きイベント at 12:39| 日記

2011年08月10日

マレーシア Malaysia



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マレーシアは「1(One) Malaysia」をスローガンに掲げる多民族国家で
経済発展の著しい東南アジアの国です。
マレー系・インド系・中華系、
そして多数の部族で構成される先住民族など、
いろいろな人種の人々が共に暮らしています。



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国教はイスラム教ですが、他民族国家を反映して
イスラム教以外にも仏教やキリスト教、
その他の宗教を信仰している人もたくさんいます。

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国土はマレー半島部分とボルネオ島部分を合わせると
約33万平方キロメートルで
そのうちの約60%が熱帯雨林で覆われています。
マレーシアの熱帯雨林にはアジアゾウなどが生息する場所や、
たくさんの生き物を育んでいるマングローブ林など、
様々な生態系が存在しています。




あなたの大切なものは何ですか?
「私の大切なものは、ここから見える綺麗な山です。」



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マレーシアという国名は「ムラユの国」という意味があります。
ムラユとはサンスクリット語で「山脈のある土地」を意味する
「マヤラドヴィバ(Malayadvipa)」を語源としています。
マレー半島とボルネオ島の一部から構成されるこの国には
美しい砂浜や南国の熱帯雨林、
そして国名にも表されるような荘厳な山々があります。




あなたの大切なものは何ですか?
「僕は空港で飛行機を見るのが好きなんだ」


(ここに挿入する絵と写真を現在、検討中です。)
(参考 _DSC0082a.jpg M_T_02a.jpg)





マレーシアの空の玄関口であるクアラルンプール空港。
この空港の建設には、日本の竹中工務店や大成建設が関わりました。
たくさんの日本の企業がマレーシアに進出しています。
東南アジア地域では、タイに次いで2番目に日系の企業が多い国なのです。
海外の企業が進出することによってマレーシアの経済は急成長してきました。



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マレーシアの経済レベルは世界200か国中、現在57位(2010年)です。
急成長しているマレーシアの経済の波に乗ろうと、
約1400もの日系の企業がマレー半島を中心に進出しています。
今後も日本はもちろん、たくさんの国の企業がマレーシアに進出していくでしょう。


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経済の発展に伴い、女性の社会進出も徐々に進んできています。
でも、子どもの数は昔と変わらないままです。
6人、7人と子どもがいるお母さんも珍しくありません。
女性の社会進出が急にすすんだものの、
それを支える体制はまだまだ整ってはいないのです。
そのため今、乳幼児に対する虐待や放置といった問題が起こってきています。



あなたの大切なものはなんですか?
「僕の大切なものは、家族と一緒にいられる時間です。」


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ユニセフはマレーシア政府と共同で特に5歳未満の子どもとお母さんを支援する
プロジェクトを始めています。
乳幼児に優しい保育施設をつくることでお母さんの負担を減らし、
こどもへの虐待をなくしていこうという試みです。
特に貧しい家庭の子どもにとって
このプロジェクトはなくてはならないものになりました。


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1980年代にユニセフ・マレーシアは乳幼児の死亡を少なくするために
ワクチンの配布や医療システムの構築を行ってきました。
その成果もあり、マレーシアの乳幼児死亡率は先進国並みに低くなっています。
これからはマレーシアが元気に子育てをすることが出来る国になることを目指して
ユニセフは頑張っています



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ところで。日本はエネルギー資源の9割以上(原子力は除く)を輸入に頼っています。
その中でも日本に輸入されている天然ガスのうち20%は
マレーシアからのものだということはあまり知られてはいません。


天然資源やパーム油を輸出することで
マレーシアの経済はどんどん成長してきました。
しかしながら著しい発展の中で、みんなが少しずつお金持ちになっているかというと
そういうわけでもありません。
お金をたくさん稼いでいる人もいる一方で
頑張って働いてもあまりお金を得られない人もたくさんいます。

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マレーシアは1957年にイギリスから独立しましたが、
多民族国家のため、民族間の対立などもあり
1965年にシンガポールが独立しました。
その後も宗教対立や賄賂といった問題を抱えたまま成長しているため
都会と地方では貧富の差がとても激しいのです。


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マレーシアには近隣のフィリピンやインドネシアから
仕事を求めてたくさんの移民がやってきています。
でも、なかなか良いお金を得られる仕事をみつけることが出来ない人も
少なくありません。
移民の問題や宗教対立のためにお金がなく
こどもたちが学校にも行けずに路上で生活をしているような地域もあります。




あなたの大切なものは何ですか?
「わたしの大切なもの、それはおうちです」


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NGO団体のCFFマレーシア(Caring Future For the Malaysia)は
特に移民が多いボルネオ島のサバ州に
「こどもの家」を設立しています。

ボルネオ島のサバ州は移民の問題に加え、
農村での貧困や都市部との経済格差、
なかなか行き届いていない福祉や教育、
宗教や民族による差別などたくさんの問題を抱えている地域です。



あなたの大切なものは何ですか?
「私の大切な物…勉強かなぁ」


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CFFマレーシアは「こどもの家」をつくることによって
貧しさの故に学校へ行けなかったり、
路上で暮らしているこどもたちに
教育の機会や食べ物・住居の提供を行っています。
よりたくさんの子どもたちが将来に希望を見出すことができる、
そんな未来を目指して。




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定年を迎えた世代の人々がその後の生活を海外で過ごす
ロングステイが近年増加しているといわれていますが、
その中でマレーシアは定年後に住みたい国第一位(2006年〜2010年)に
選ばれています。
人気の理由のひとつに豊かな自然があげられます。
特に東マレーシア、ボルネオ島には貴重な動植物がたくさん生息しています。




あなたの大切なものは何ですか?
「私の大切なものは、家の周りに溢れる自然です」

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多くの動植物の住処である熱帯雨林を宇宙から眺めてみると、
開発によって引き起こされた森林の減少や泥炭火災が確認されるのです。
マレーシアでは、600種類以上の植物と
450種類以上の動物が絶滅の危機に瀕しています。
マレー語とインドネシア語で「森の人」を意味する
オランウータンもそのうちのひとつです。




あなたの大切なものは何ですか?
「たくさんの生き物です」

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大切な動物や植物を守ろうと、JICAは地元の政府と協力しています。
「ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム」(BBEC)の中で
環境を守るために必要な知識を地元の人々に伝えているのです。
どんな生き物がいるのか、彼らを守るためには何をしていけば良いのか。
その地域に住む人たちと一緒になって考えています。
世界中で最も豊富ともいわれる生物多様性を守るために。



豊かな森が少しずつ失われていくことで動物たちが住処を失っています。
住処を失った動物たちが畑を荒らしたり、
開発の影響をうけてエビの養殖が被害をうけてしまったがゆえに
村の人々が現金収入を得ようと土地を売ってしまうこともあります。



あなたの大切なものは何ですか?
「僕の大切なものは…故郷です。自然が豊かでとてもきれいなところです」


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売られた土地は伐採されてしまったり
アブラヤシの農園にされることも多々あります。
土地が開発されることによって動物たちの住処は更に減少していくのです。
豊かな森が開発によって失われることを防ぐために
森の保全と村人の収入、この2つを共に得るために
BBECが提案してきた活動のひとつである
エコ・ツーリズムの導入も地元住民にも受け入れられ始めています。





あなたの大切なものは何ですか?
「僕の大切なもの、それは、海と山と空と・・・・」


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マレーシアは2020年までに先進国の仲間入りをすることを目標に掲げていますが、
急速な経済発展と伝統的な暮らしの狭間にたくさんのひずみがうまれています。
世界中で最も豊富といわれるたくさんの生物が暮らしているマレーシアという国で、
この国にに暮らす人々が、こどももおとなも皆笑顔で暮らしていける、
そのような発展がなされていくことを願ってやみません。



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絵と写真を集めた人:
エリーさん、Toddさん、小柳さん

画像データを編集し、文章を書いた人:
大川 絵美

編集完了日:
2011年8月11日

監修・校正:
山本敏晴

企画・製作:
NPO法人・宇宙船地球号
http://www.ets-org.jp/

posted by お絵描きイベント at 08:51| 日記